精神救急での認知症受け入れ状況

現代の高齢社会に伴って急増している認知症に伴う「精神病院での認知症治療状況」についてどういったものなのかや治療方法、対応法を調査しました。その旨を以下に記したいと思います。

 

精神救急での認知症受け入れ状況

認知症には、中核症状と周辺症状(BPSD)があります。

中核症状では、記憶障害や判断力の低下、場所や時間が分からなくなります。周辺症状では、徘徊や易怒性、意欲低下や暴力行為などがみられます。レビー小体型認知症では、人格の変化や脱抑制、幻覚や幻聴などが症状として現れます。

精神病院に救急入院する場合は周辺症状(BPSD)が主な原因です。暴言や暴力行為、徘徊、脱抑制などの症状が悪化し、家族などの介助者に被害をもたらす危険性があること、もしくは危険な目に合った場合に救急入院します。

特に周辺症状が悪化するのは夜間であり、家族が耐えかねて精神病院に救急入院させることも多いです。

施設などに入居している場合は家族以外にもスタッフや他利用者などに被害が及んだ場合は速攻で精神病院に救急入院することとなります。

 

精神病院での認知症治療

周辺症状(BPSD)が悪化し、精神病院に救急入院した場合は興奮や攻撃性を和らげるために鎮静剤などの薬物療法が主な治療となっていきます。他にも作業療法士が介入して、リハビリという形で周辺症状を改善させる方法があります。

しかし、現実的には精神病院でも症状が落ち着かずに他者に危害を加えたり、転倒などで本人の命に危険がある場合は資格がある精神科医の判断で患者の行動を制限することが法律で認められています。行動を制限するというのはベッド下にセンサーマットを敷いたり、拘束バンドで身体拘束を行ったり、部屋に鍵を付けて自由に出入りできないようにすることです。

果たして身体拘束が許されるのかは疑問に思いますが、それほど周辺症状(BPSD)というものは興奮や攻撃性が高く、本人や他者に危害を加える危険性が高いということです。その場合はやむを得ず、法律で決められた通りに身体拘束を行って本人の行動を制限するしかないのが現状です。

精神病院の入院費用、期間

認知症の治療方法

精神病院に入院するにあたって、周辺症状(BPSD)が収まって本人や他者に危害を加える危険性が排除されるまで入院することになります。

入院費用は70歳未満であれば費用の3割負担なので、病院にもよりますが1か月およそ20万円ほどであり、70歳以上の高齢受給者証を持っている方は1割負担なので、1か月およそ10万円ほどです。

入院期間は周辺症状(BPSD)が収まって本人や他者に危害を加える危険性が排除されるまでですが、現状では家族や施設などの介助者が心身ともに疲弊してしまい、退院後の自宅や施設での受け入れを拒否するケースが近年増加しています。

そのため、高い入院費を払ってでも長期もしくは半永久的に精神病院に入院してもらうか、本人や他者に危害を加える危険性が排除されたということで再び、自宅や施設で受け入れて生活してもらうかのどちらかの場合が多いようです。

特にレビー小体型認知症(前頭葉型認知症)は症状が独特で、他者へ危害を加える危険性が高いということで、最初から施設側が受け入れを拒否するケースも少なくないです。

そのため、自宅でも施設でも介護が出来ずに精神病院に預けるという形で、長期入院せざるを得ない状況もあるようです。

退院後の自宅での過ごし方

周辺症状(BPSD)が収まって本人や他者に危害を加える危険性が排除された場合に退院となり、施設に入所しない場合は自宅での介護が継続するのですが、精神病院である程度落ち着いた状況になったとしても、また家族などの顔を知っている人と過ごすようになると症状が悪化し、夜間などに徘徊や暴言、暴力などが再び現れることも多いです。

そのため、なるべく穏やかに自宅で過ごしてもらうためには介護保険制度を利用してデイケアやデイサービス、短期入所などのサービスを使うことをお勧めします。

デイケアでは、認知症のリハビリが出来ますし、デイサービスでは他利用者との交流やレクへの参加、入浴サービスもあります。

自宅で過ごすことがまだ難しいようでしたら、施設への短期入所という形で自宅と施設の両方で過ごしてもらうという手もあります。

また、外出することが厳しい場合は訪問リハビリや訪問介護などの自宅でサービスを受けられることも可能です。

まずは家族などの身内だけで、認知症を抱えた本人の介護問題を抱え込むのではなくて上手に介護保険制度に基づくサービスを利用することがおススメです。

日中にそういったサービスを利用してもらうことで、家族などの介助者側も一日中介護し続けるのではなくて自分の時間を持つことが出来るので、心にゆとりをもって日常生活を過ごし事が出来ます。

もし、自宅でも穏やかに過ごしてほしいという希望があるのであればそういったサービスで活用している認知症専用のリハビリや対応、接し方などをスタッフから学んで自宅でも取り組んでみてはいかがでしょうか?